遺族厚生年金

 

(Ⅰ) 遺族厚生年金を受け取るための要件

遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者が、次の要件のいずれかに該当したときにその者の遺族に支給されます。

厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき厚生年金保険の被保険者である間に初診日のある病気またはケガが原因で初診日から5年以内に死亡したとき障害の程度が1級又は2級の障害厚生年金を受けている人が死亡したとき老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金を受けるために必要な加入期間の条件を満たしている人が死亡したとき

上記、「1.」と「2.」の場合には、死亡日前の被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間を含む)と保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であること、という保険料納付要件を満たしていることが必要です。
なお、この保険料納付要件は、死亡日が平成28年4月1日前の場合は、死亡日前の1年間に保険料を滞納した期間がなければよいということになっています。

 ・遺族について(補足)

平成8年4月1日前の死亡については、死亡当時、夫、父母、祖父母が55歳未満であっても、遺族厚生年金の受給権を取得した当時から引き続いて1級または2級の障害の状態にある間は支給されます。

 短期要件と長期要件について

遺族厚生年金の支給要件のうち、(1)〜(3)を短期の遺族厚生年金、(4)を長期の遺族厚生年金といいます。年金額の計算などで取扱が異なります。短期と長期のいずれにも該当したときには、短期に該当したこととされますが、裁定請求を行うときに遺族が申し出れば長期の遺族厚生年金とされます。

(Ⅱ)遺族の範囲と順位

・遺族の範囲

遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であったものの死亡当時、その者によって生計を維持されていたその人の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある人を含む。)、子、父母、孫及び祖父母でありますが、妻以外のものについては、次の要件に該当することが必要です。

子と孫については、18歳に達する日の属する年度の年度末までにあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級の障害状態であって、婚姻していないこと
(子については、死亡当時胎児であった子が出生した場合を含む。)夫、父母、祖父母については、55歳以上であること(ただし、60歳までは支給停止される。)

※被保険者又は被保険者であった人によって生計を維持されていた遺族とは、遺族厚生年金の受給権を取得した当時、死亡した人と生計を同じくし、年収850万円以上の年収を将来にわたって得られないと認められることが必要です。

 ●遺族の順位

遺族厚生年金を受給できる順位は

  1. 配偶者と子(両者は同順位)
  2. 父母
  3. 祖父母

の順になっています。

遺族厚生年金の受給権者になれるかどうかは、被保険者の死亡の時点で確定します。つまり、受給権発生後に 先順位者が受給権を失った場合に、後順位者が受給権を取得するという「転給」制度はありません。

(Ⅲ)遺族厚生年金の失権

遺族厚生年金の受給権は、次のいずれかに該当したときは消滅します。

  1. 死亡したとき
  2. 婚姻(事実上の婚姻関係にある場合を含む)したとき
  3. 直系血族または直系姻族以外の人の養子
    (事実上の養子縁組関係にある場合を含む)となったとき
  4. 養子縁組により死亡した人の養子または養親となっていた者が離縁したとき
  5. 受給権を取得した当時30歳未満である妻が、その受給権取得以後に胎児出生により遺族基礎年金の受給権を取得することなく5年を経過したとき。
  6. 30歳未満で遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給権を取得した妻が、その受給権取得以後30歳未満である間に遺族基礎年金の受給権が消滅(子の死亡、離縁、18歳到達等)した場合は、当該遺族基礎年金の失権から5年を経過したとき
  7. 受給権者である子又は孫が18歳に達する日の属する年度の年度末が終了したとき (1級又は2級の障害の状態にある場合を除く)
  8. 受給権者である1級又は2級の障害の状態にある子又は、孫が18歳に達する日の属する年度の年度末以後その状態がやんだとき、又は20歳になったとき
  9. 受給権者が父母、孫又は祖父母である場合は被保険者等の死亡の当時、胎児であった子が生まれたとき

*19年4月1日以降遺族厚生年金の権利を取得した場合 子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は、上記5・6により 権利が失権します。(19年4月改正)

(Ⅳ) 年金額

遺族厚生年金は、遺族基礎年金に上乗せして支給される場合と、厚生年金保険の独自給付として単独で支給される場合とに分かれます。 また、遺族厚生年金には、被保険者期間の月数を最低300月として年金額を計算する場合(短期の遺族厚生年金)と、実際の被保険者期間の月数で計算する場合(長期の遺族厚生年金)とがあります。 
遺族基礎年金の支給を受けることができるのは次の2通りの場合で、遺族基礎年金とともに、遺族厚生年金が支給されます。

  1. 死亡した者の妻で、18歳到達年度の末日までにある子又は20歳未満で1級又は2級の障害の状態にある子がいる場合。
  2. 死亡した者の子で、18歳到達年度の末日までにある子又は20歳未満で1級又は2級の障害の状態にある子がいる場合。

※子のない妻、夫、父母、孫、祖父母については、遺族基礎年金は支給されず、厚生年金保険の独自給付として遺族厚生年金が単独で支給されます。

中高齢の寡婦加算

次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳以後65歳になるまでの間、583,900円(平成25年度価格)が加算されます。
ただし、被保険者期間が20年未満(40歳以後15年以上などの中高齢者の期間短縮は含まない)の老齢厚生年金を受けていた人の死亡による遺族厚生年金にはこの加算が行われません。
中高齢の寡婦加算が行われている人が65歳になると生年月日に応じた額が経過的に加算されます。

 加算が行われる人

(1)夫の死亡の当時、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている18歳到達年度の末日までの間にある子または20歳未満で障害の程度が1・2級の状態にある子がいない妻

(2)40歳に達したとき、夫の死亡の当時から生計を同じくしている18歳到達年度の末日までの間にある子または20歳未満で障害の程度が1・2級の状態にある子がいる妻(遺族基礎年金が支給される間は、加算額が支給停止されます。)

経過的寡婦加算

遺族厚生年金を受けている人が65歳に達すると、遺族厚生年金と老齢基礎年金の2つの年金が支給されることになるため、それまで遺族厚生年金に加算されていた中高齢の加算は廃止されることになります。
しかし、カラ期間の長かった妻の老齢基礎年金の額は、65歳未満に支払われていた中高齢寡婦加算より低額になってしまうことがあります。
経過的寡婦加算は、同日に30歳以上であった昭和31年4月1日以前に生まれた遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき、それまで加算されていた中高齢の加算に代えて加算されるもので、これによって遺族である65歳以上の妻には一定水準の年金が保証されることになります

遺族厚生年金の経過的寡婦加算額の表(平成26年度価格)

生年月日 加算額
昭和20年4月2日 〜 昭和21年4月1日 214,600円
昭和21年4月2日 〜 昭和22年4月1日 195,100円
昭和22年4月2日 〜 昭和23年4月1日 175,500円
昭和23年4月2日 〜 昭和24年4月1日 156,000円
昭和24年4月2日 〜 昭和25年4月1日 136,500円
昭和25年4月2日 〜 昭和26年4月1日 117,000円
昭和26年4月2日 〜 昭和27年4月1日 97,500円
昭和27年4月2日 〜 昭和28年4月1日 78,000円
昭和28年4月2日 〜 昭和29年4月1日 58,500円
昭和29年4月2日 〜 昭和30年4月1日 39,000円
昭和30年4月2日 〜 昭和31年4月1日 19,500円
昭和31年4月2日 以後


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